時間の流れは早いもので、季節はどんどん移り変わっていきます。
同じく、個々の活動も、取り巻く環境も、20代・30代とかけて、目まぐるしく変わっていく、そんな風に感じます。
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今の感情を「ワクワクとソワソワとバタバタ」とはるなは話します。
次の環境に向けてワクワクしつつ、その準備などでバタバタしているのだといいます。
はるなの、これまでと、これからについて聞きました。
はるなの話を聴くのは数年ぶり。
前に聞いた時は、転職をして少し経った頃。
途上国のストーリーを伝えるものづくりの会社で働き始めて、新ブランドの立ち上げに励んでいました。
その後、異動となり、愛知で新店舗の立ち上げと店長を務めていました。
生活に欠かせない畑とハーブ
まず聞いたのは、愛知でのはるなの生活について。
今はるなの生活で欠かせない大切なものが2つあるといいます。
ひとつめは畑。
愛知の郊外の方で畑を2畝借りて、野菜を育てています。
「ちょうどコロナやウクライナの件もあって、外部からの食糧が遮断された時に生きていけるのかなと考えていました。お金があったとしても、お金は食べられないし、生きていけない。自分で食べ物を生み出せる人になりたいなと思ったんです」
実は、土をいじったり、食べ物をつくろうとしたことは、3年前のインタビューでも話してくれていました。しかし、その時は中々思い通りにいかなかったといいます。
「前は知識も何もなかった。虫にやられて心が折れて無理だなと諦めちゃっていました」
ただ、愛知に来て、土のつくり方から学ぶことで、野菜がつくれるようになったのです。
「他の人が管理してくれるわけではないから、数日行かないと雑草でボーボーになっちゃったりするけど」
そう笑いながら、話します。
愛知での生活で欠かせない2つ目はハーブです。
「フィトセラピーというもので、ハーブを生活に取り入れています」
代表的なのは、お茶にすること。
「頭痛に効くハーブ、胃に効くハーブ、鼻に効くハーブなど、ハーブごとに様々な効能があって、その時々の症状に合わせてブレンドして飲んでいます」
それらを瓶に詰めて、朝に飲む用、休みの時に飲む用などに分けていると言います。
そして面白いのが、そのハーブの種類も様々にあること。
「花を使うものもあれば、葉っぱや根っこを使うものもあります」
また、使い方の違いによっても、味や香りが異なってくるのだとか。
「つみたての方が味の個性や香りがちゃんと出る。一方で乾燥させると味がまろやかになり、青臭さがなくなるんです」
他にも足湯の中に入れることで、そのミストで気分が整ったりすることも。
このように、ハーブを生活に取り入れているといいます。
畑とハーブに救われた
はるなが愛知に来て、畑やハーブの活動をはじめたのには、ある経緯がありました。
「新しい店舗で、店長という新しい役割、初めての土地、初めての転勤だったりと、ありがたいことに、新しいこと、初めてのことが多かったんです」
そのような慣れない環境・業務が続いて、体調を崩してしまっていたのです。
「体調を崩して、休みの日もずっと家に居て、あまり人と話さない日が続いていました…でも、それじゃダメだなって思ったんです」
そうして見つけたのが、郊外にある畑の学校(農園塾)だったといあます。
「土や緑を触らないとダメだなって」
ハーブに関しても愛知に来て、勉強を始めたと言います。
「ハーブの学校のオンライン講座に何回か参加して学びながら、自分で勉強して、生活に取り入れていれていきました」
そして、その効果は出はじめます。
「去年は気管支炎が本当にひどかったのですが、ハーブを取り入れていった結果、少しずつよくなっていったんです。薬とか点滴でも全然治らなかったのがハーブティーでよくなって驚きました」
元々、はるなはアーユルヴェーダについても勉強していました。
アーユルヴェーダとは、インドの伝承医学のことで、はるは以前に沖縄にあるスクールに長期休暇を利用して、短期で勉強していたそう。
アーユルヴェーダも、日常に取り入れられるセルフケアが沢山あり、その点で、ハーブにも通じる部分があるといいます。
そうやって土を触ったり、ハーブを生活に取り入れていくうちに、少しずつ体調も良くなっていったのだと話します。
「伝えること」の嬉しさと難しさ
話は少し変わりますが、3年前のインタビューで、はるなが大切にしていること、大切にしていきたいこととして、話してくれたものがあります。
「伝えること」です。
途上国のストーリーを伝えるものづくりの会社に転職をして、店長という立場を務める中で、何を、どのように伝えてきて、それを通じて、感じ、考えたことについて聞きました。
「愛知での新店舗は、『発信型店舗』としていて、伝えることに力を入れていました」
元々はるな自身も、会社の中で「伝えることに力を入れていきたい」と話していて、店長就任時のプレゼンでも話していたといいます。
その取り組みの一つが、お店についてのnoteでの発信。
「ひとりひとりの想いをしっかり伝えられる場所が欲しいなって思いはじめました。大学生の時にライターもやっていて、文章を書くのも好きだったからちょうど良いなって思って」
実際に書いたことで、お客様から反応もあったと言います。
「普段大阪に滞在されているお客様が、愛知の店舗にいらっしゃってお話しした際に、『記事いつも読んでいるよ』と言ってもらえたり。他にも新卒1年目のお客様が、バッグを買ってくれた時のお会計の時に『noteいつも読んでます』と言ってくれたり。意外と伝わっている、読んでくれている人いるんだなって思いました」
普段記事を書くだけでは、しっかり届いているかは中々わかりにくい。ただ、このような形で実際の声を聞くことで実感ができるといいます。
「今はツールはたくさんあって、投稿ボタン押せばなんでも発信はできるけれど、それが届けたい人に届いているかは目には見えなくて、実感が湧きにくいなって。ただ、それでも記事見たと言ってくれる人がいるのは嬉しいです」
元々、はるなは高校3年生の頃までは、マスコミにも興味があったといいます。ただ、大学に入ってインターンなどをしていく中で、小売業に興味が変わっていった経緯があります。
「ちゃんと声が聞ける方が良いなって思って小売業を選んだのですが、その良さを改めて感じていました」
一方で、実際に発信を考え、行っていく上で、難しさも様々に感じたと話します。
「やっぱりビジネスインパクトを考えなくてはいけないし、たとえば広告を打てばわかりやすく効果は狙えるけれど、そうじゃない方法でアイディアを生み出すのは、すごい難しいなって痛感しました」
会社やブランドの中で発信する良さや難しさを感じた、はるな。これからは個人での発信の力も高めていきたいと考えています。
「会社の名前ではなくて、もう少し個人で発信する力を強めたいなって考えています。最近少しずつ個人のインスタの投稿を増やしたりしているのですが、これからは臆せず自分のことを投稿していきたいなと思っています」
ハーブ農家に弟子入り
途上国のストーリーを伝える会社で、伝えることについて考え、行ってきた、はるな。
そして今、次の環境に進む決断をしました。
「ハーブ農家に弟子入りします」
決断の背景のひとつは、先程聞いたハーブの効用を実感したことだと話します。
「薬を飲んでも治らなかった咳が、ハーブを取り入れてから良くなって、改めてハーブの凄さを実感したんです。それもあって仕事にしたいなって思いました」
移住先は高知県の日高村。その場所に大阪から移住されてきた60歳代のハーブ農家の方がいらっしゃるという。
「化学的な肥料は使わない農法で、1人でされていて。その人の元で勉強をする予定です」
はるなは、高知に地域おこし協力隊として行く。任期は3年。
地域おこし協力隊としては珍しく、現地の法人につくことができ、そのひとつがハーブ農家だといいます。
協力隊として、することは様々にある。
「ハーブを育てたり、日曜日はマルシェに出店したり。最近はバジルペーストなどの商品化もしています。ただ、1人でされているから大変なようで…色々と学ばさせてもらえたらと思っています」
実はひとつの組織・ブランドの中から飛び出して、自分で何かしたいということは、3年前も話していました。
「3年前もお店とか何か自分で始めたいって言っていたけれど、まだ完全に自分1人で行う勇気はつけきれずにいて。ただ、組織の中で守られている自分から飛び出さなければいけないとは思っていて…」
これからの3年間は、そのステップであり、準備期間だと言います。
「すぐフリーにいく勇気がなかったから、この3年間は猶予期間です。1・2年目はしっかり学んで、3年目ぐらいから独立のために準備ができればなって思っています」
3年間でできることを一つずつ進めていく、まっすぐな目でそう話します。
人のパワーを感じる場所で
高知という土地にも思い入れがあり、大好きな場所だといいます。
「高知は大学一年生の時に入っていた、よさこいサークルの活動で初めて行きました。サークル自体は、他にやりたいこともあったので1年でやめちゃったのですが、高知のことは好きで、大学4年間で毎年通い続けていました。そして、いつか住みたいという気持ちがありました」
そして、その想いが今回実現します。
「一番やりたいと思ったハーブのこと、自然農法のこと、そしてアクセスの良さなど全てマッチして、ここだと思ったんです」
実際に移住先の高知に改めて行ってみて気に入った点もたくさんあった。
「まず人のパワーがすごいなって。何回か行っているのですが、ご飯屋さんに行っても、バスに乗っていても、町の人がフラットに話しかけてくれます。1人にならない感じが良いなって。あとは、太陽のパワーもすごく感じます」
高知に行ったら、よさこいを再開させたい、ともいいます。
「他にやりたいことができて大学では続けなかったのですが、よさこい自体は大好きで。特に現地チームで出るのが夢だったので、出たいなって思っています」
お盆の時期に全国各地から様々なチームが集まって、アーケードを踊り歩いたり、高知城の前に特別演舞場が作られたりして、街がよさこい一色になるという。
「体力落ちているからダンスもしなきゃなって。今度、体験レッスンに行く予定です」
そう笑います。
あとがき
はるなの話を聴くと、いつも勇気をもらいます。
それは、はるなが(こんな風に書くと失礼かもしれないのですが)今していることについて、向き合って、楽しみながら、でも楽しいだけじゃなくて、悩んで、悩みながら進んでいて、そして、今したいことや、これからしたいことをまっすぐに考えて、考えるだけじゃなくて、行動もしていて、その様子を、話を聴く中で感じるからかもしれないです。ああ、自分も頑張らなくてはな、と。
ハーブ農家になった先に、何を感じて、考えているのだろうか、とまた話を聴くのが楽しみです。