夏の終わりと秋の始まりの間のような季節。
夏が引きずる暑さを感じつつも、確実に秋へと季節は変わっていく。
そんな季節が移り変わるタイミングでは、つい昔や将来のことを考えてしまうのかもしれない。
「楽しいけれど、壁にぶちあたっているという感じ。ただ、壁を乗り越えれば成長するんじゃないかな」
イマココの感情を話してくれた、とっくん。
「35歳までに、やりたいこと、実現したいことの計画がある」
その目標に向けて、まさしく進んでいる最中だ。
30歳までに独立
とっくんは、今年の7月に転職したばかり。そして、その転職も、目指している目標につながっている。
「3年以内、30歳までに、独立したいと決めています。転職はしたのですが、ずっと会社員でいつづけるつもりはなくて、個人事業主として、独立してやっていきたいなと。35歳までに結婚、そこまでに最低でも年収2000万円、個人事業主として稼ぎたいです」
当初は、起業を考えていた、とっくん。個人事業主への道を考えたのは、大学院卒業後、新卒で入社をしたITベンチャー企業での経験がきっかけ。
「入社三ヶ月で、自分以外の同期ほとんどがリストラ、入社半年で会社が潰れてしまいました。その際、全社集会みたいなのがあり、社長が、人生をこわしてすみません、と全員に対して謝罪をしていて…」
元々、新卒でITベンチャーに入社したのも、起業をしたい目標があったため。しかし、その経験を経て、とっくんは考え直します。
「元々、起業して会社を経営して、と考えていたのですが、これ無理だな…と正直思いました。」
とっくんは、続けます。
「自分でビジネスを始めると、社長以上にモチベーションが高い社員、社長以上に会社が好きな社員は入ってこない。そのような人のために給料を払って、そのような人の人生を背負えるか、と考えると、背負えないなと思って」
その経験を経て、とっくんは、なぜ起業したかったのか、と改めて思い出します。
お金を稼ぐための手段として
思い起こしたのは、昔に経験した、ある出来事。
「家族がアメリカで手術しなければいけないことがあって、そのときの渡航費、手術費、入院費などが全て自己負担だったんです」
その時は、祖父母とかもお金を出してくれて、手術はできたと言います。
一方で、その経験を経て、とっくんは、お金に対する考えが変わることに。
「その時、お金がなくて救えない命、お金がなくて辛い思いをさせちゃうことってあるんだなって思いました。たとえば、自分の子どもが、お金さえあれば治る病気にかかった時や、自分の親が認知症になった時、『お金がなくて、治療できません』、『お金がなくて施設にいれることができません』、となったらすごく嫌だなって」
そこで思い当たったのが、起業。
「会社員だと35歳、36歳頃の給料は、想像ができてしまうなと。自分のライフスタイルや金銭感覚とかも、今の35歳、36歳の方と同じぐらい。だとすると、お金を稼ぐ、という思いは叶えられないなと思って、起業しようとしたんでした。」
一方で、あくまでもお金を稼ぐための手段だった起業が、いつのまにか目的になっていたと、とっくんは、気がつきます。
そこで新たな道として考えたのが、個人事業主。
「転職してから出会いがあって、個人事業主として頑張っていて、楽しいという方のお話を聞きました。それ以来、起業ではなくて、個人事業主として稼げばいいんじゃないかと、思いました」
人生を通じてやりたいことではない
大学生・大学院生の時、高校生への進路支援や、YouTubeなど、様々な活動をしていた、とっくん。
一方で、それらは、自分の人生を通じてやりたかったことではなかったとも気づきます。
「今までは、目の前に興味があること、楽しそうなことに取り組んでいました。大学生になって上京して、『すごいな東京、これ知っていたら人生変わっていただろうな』と思って取り組んでいました。しかし、これを人生通じてやりたいわけではないなと思って…」
もっと先、10年後や20年後、35歳や65歳になった時、どうなっていたいのかを見据えて考えて、行動しないとダメだと、思ったと話す。
「YouTubeも、別に安定した収入があって、副業的にやるのであればいいけれど、単体で安定させていくのは難しいなと思って。大学院一年生の時、登録者数は600人だったのですが、本気でやろうと考えたら、そのまま就職しなかったと思います。それを選ばなかったのは、そこまでだったんだろうなと」
本をよく読むように
個人事業主の目標を定めてから、本をよく読むようになったといいます。
「本はすごい重要だなと思うようになりました。週に一冊、二冊以上は読むようにしていて、ジャンルも、ビジネス、働き方、経済、思考の本など様々です。」
本を読むようになって以来、意識しているのが、アウトプット。
最初はノートに書いり、書評ブログをしていたものの、全然続かなかったという。そこで行ったのが、読書会への参加だ。
「前の会社の先輩も読書が好きで、本の話をしている時に、『読書会やっているからくれば?』と誘われたんです。それ以来、読書会でアウトプットするようにしました」
その読書会では、自分の読んだものを5分ぐらいでアウトプットし、その内容を議論する。
ジャンルは問わず、小説でも、漫画でも、映画でも良いのだとか。
「土曜日の朝に開催しているのですが、毎週行くと宣言しています。そうすると、読む必要が出てきて、結果的に週に一冊以上は、読んでいます。」
参加する中で、とっくんが感じるのは、ただ自分で読むのと、アウトプットありきで読むのとでは、全く異なること、だと話します。
「自分が読んだ本も、他の人は違うことを感じていることがあります。読書して自分の頭で考えることは、自分の頭の中の知識を使っているだけで、実はあまり成長していなかったりする。他人の意見を入れて、初めて成長があるのだと思います。」
子どものイベントに全参加
家族や、プライベートについて、考えていることもある。
「35歳までに、目標が達成したら、結婚したいなって。やっぱり子どもは好きだし。」
個人事業主になることは、その目標を叶えることにもつながっています。
「会社員がダメとか、良くないというわけではないです。ただ、会社員でお金ある人は、時間がなかったりすることも多いのかなと思います。個人事業主は、自己責任ではある分、自由だし、お金もあるのかなって」
とっくんには、個人事業主で稼げるようになったら、実現したいことがあるのだとか。
「子どものイベントに全部参加することが目標です。先生との三者面談に父親が来た、みたいな感じを目指します。笑」
目標を叶えるまでの我慢
最後に、聞いたのは、プライベートの話。
「やりたいことは沢山あるけれど、全部我慢しています。」
ただ、それは単にストイックである、というのとは異なります。
目標のため、です。
「事業やるのは簡単ではないし、資金もいる。だから、基本的には全て我慢して、なるべくお金を使わないようにしています」
家も安いところに引っ越したという。
「やりたいことはたくさんあるけれど、3年以内に会社やめて目標叶えるまでは我慢します。逆に100年生きる中での3年ぐらいは、我慢しろよと思っています。自由になるためには、不自由を経験しなければいけないなと。」
そう語る、とっくんの瞳は、覚悟を宿しながら、真っ直ぐに前を向いていました。
おわりに
とっくんと話したのは久しぶり。
目標を決めて、そこに向けて黙々と進んでいく姿には、いつも勇気をもらう。
またいつか目標の姿に近づいているとっくんに会えるのが楽しみなのと同時に、僕ももっともっと成長していなければならない、そう感じた時間でした。(れい)