「割と必死かもしれないです」

イマココの感情をそう答えてくれた。

多分、りよなが、必死なのは今に始まった事ではない。ただ、続いたりよなの言葉からは、いつもとは違う何かを感じる。

「今は学問ファシリテーター育成講座を作っていく立場。参加者に与える影響や、感じ取ってくれるもの、を考えると妥協できない。妥協は元から好きじゃないけれど、絶対にできない」

”絶対に妥協できない”その言葉から、今まで以上の必死さ、そして覚悟が伝わってきた。


ファシリテーションは、全ての人に必要

りよなが今情熱を注いでいるのが、学問ファシリテーター育成講座。通称、学問ファシリ講座。一般社団法人Foraが主催する大学生向けの企画だ。

一般社団法人Foraは、「人生を問う場を届ける」という想いの元、大学生が高校に行き、ワークショップ形式の進路の授業を行なっている団体。

その中で学問ファシリテーター育成講座は、授業の中核を担う大学生の育成を担うと共に、日常生活における、ファシリテーションの可能性を追求している。

学問ファシリ講座で、りよなが主に担っているのが、講座全体のデザイン。

「教育には誰もが関わると思うんです。例えば、アルバイトの先輩になる、上司になる、親になる、とか。意識はなくても教育ということには関わるじゃないですか。そういう人たちにファシリテーション能力が身についていったら、良いなと思うんです。」

ただ、りよながForaに、学問ファシリ講座に関わり出してから、その「答え」に辿り着くまでは、決して簡単ではなかった。


無意識から意識に

りよながForaの学問ファシリ講座に関わったのは、大学に入学したばかりの、4月。

当時、ファシリテーションという言葉は聞いたことがなかったという。
ただ、当初Foraの運営自体に興味があり、大学生向けの講座があると聞いたから、まずは参加してみた。

そこで伝えられたことが、”相手を主役にして、参加してくれる生徒が安心してこの場にいてくれるような環境を作ること”

それがまさしく、りよなの抱えていた想いと、ガッチリと見事に重なった。

「それって今の教育業界に意識されていないなって思ったんです。先生たちも、目の前のことに必死すぎて、その生徒たちが安心するような環境を作れずにいたりする。教室や学校という場所に、その子に傷ができた時に癒すさためのものはあるけれど、最初から居やすい環境を作りましょうというのは、意識として少なくて、あったとしても無意識だと思ったんです。」

りよなは、その無意識に注目をする。

「ただ、その無意識を、意識的にできるだけでもすごいことになると思うんです。無意識に備わるスキルでも良いけれど、それだと、結果的にそうなっているだけで、振り返ってもまた上手くはできない。だからそういうのを、意識的にできるといいなと、参加して思ったんです。」

りよなが一講座生として参加した学問ファシリ講座は第2期。そこから、3期では、講座生のサポートの役割であるダイアログパートナー兼運営、4期、5期も運営として関わり続けてきた。

りよなが参加した学問ファシリ講座2期のメンバー

今回の6期では、遂に講座全体のデザイン部分から、自分がやりたいことを形にできるようになったという。

「自分が誰を対象にどんなことを考えたいのかを、やっと実現できる。だから、心持ちというか、覚悟が違うんです。この講座は、Foraの理念を叶えるための一事業であると共に、講座を通して、教育業界という私たちが関わっている業界に、どういう人たちを送っていきたいのかを考えることでもあると思っています。相当な覚悟だなと。そう考えた時、意識が変わりました。」

冒頭の覚悟はここから現れている。


相手が求めているものってなんだろう。

ついに、自分の思いを元に、講座の設計から作っていける。その上で、まずやったことは、自分がやりたいことを徹底的に聞いてもらい、全部出し切ったことだった。

そこで出てきたことは、”私たちがやりたいことの押し付けにはしたくない”という想い。

「相手が感じている疑問や違和感、具体的には、場に対する違和感、思考に対する違和感、相手に対する違和感とかを、解消するためにファシリテーターがいると考えていたんですけれど、それだけだと何か足りないなと。。例えば、疑問や違和感とかでなくて、すでに楽しいと思っている人を、本当に学びたいことに近づけるためのきっかけづくりもファシリテーションだと思ったんです。」

こういう考えに至ったきっかけの一つが、りよなが学問ファシリ講座自体に、違和感を感じていた時期があったからだという。

「違和感を感じて、突き詰めて考える内に、今こうやって感じている疑問を解消するのは、自分目線でしかなくて、講座生が本当に求めているものってなんなんだろう、と思ったんです。」

講座はあくまでも、受けてくれる生徒のもの。自分ではなくて、相手目線で考える、そう考えたこと自体が、ファシリテーションとは何か、を改めて考えるに至った出発点だった。

そうして出てきた想いが、先の言葉だ。


言葉選びもすごく意識している

相手目線を考えた時に、拘ったのが学問ファシリテーターの募集をする際に用いた言葉。

「例えば、”生徒が主役になれる場作りの手法”と打ち出すと、大学生の中には、生徒を対象に考えていない人もいるから、少し異なってきてしまいます。私たちは教育団体ですが、この講座自体は、教育に普段あまり関わらない人も、教育に触れる幅を作れるように、という意図があるのに、生徒という言葉を使っちゃうと学校の教育に限定されてしまいます。だから、本当に伝えたいことを言語化するためのワード選びとか、自分たちが一方通行になっていないかをすごく気をつけていました。」

もちろん、正しいとも完成形ともまだ思っていないという。試行錯誤の連続だ。

「言葉選びは、すごく難しい。それで変に影響されちゃったら、その言葉をインプットされている講座生が世に出ていく。そう考えると、責任重大だなった思うんです。」

試行錯誤はまだまだ続いていく。


手応えは”素晴らしく良い”

そういう想いで始めた6期の学問ファシリテーター講座ですが、実際の受講生からの手応えは、”素晴らしく良い”という。

「ちゃんと考えたから、相手も受け止めてくれたんだと思います。講座生が良い方ばかり、ということもあるけれど、授業実践に行ってくれる子も増えているし、見学に行きたいと言ってくれる子までいる。」

講座生からの質問も積極的だったり、もっとこういうことやりたいんです、と意見も出て、追加で講座を開くことも既に決まっている。

「講座内での盛り上がりはタイトルコールを言った時にも表れています。今までは、例えば、タイトルコールで、〇〇自己紹介(企画名)と言うと、反応は、イェーイ!だけだったのですが、最近は、イェーイ!の後に、フゥーー!が出てきたりします(笑)」

6期の講座では、「伝えたいことはこれです」と、明確に伝えていて、それも功を奏しているのでは、とりよなは考えている。

改善点はありながらも、今までより、何かを受け取ってくれている人が多いなと、そう印象を話してくれた。


ベテランの先生のファシリテーションスキルを次へ

少し遠い未来に実現したいことを話してくれた。

「学校の先生、特に新人の先生まで広げたいと考えています。ファシリテーションが、初めて学校に入った時に学ぶ一つの研修としてあったら良いなって。」

具体的には、ベテランの先生達が新人の先生達に教えられると良い、とりよなは考える。

「ベテランの先生達って、絶対ファシリテーションスキルを持っている。ただ、”無意識”が多くて、おそらくファシリテーションという言葉を知らない、もしくは知っていたとしても、そんなの当たり前じゃん、と言うと思うんです。」

ただ、その当たり前の中身が大事、と続ける。

「そのベテランの先生達が、新人の先生達に、こういうスキルがあるよと教えていけるような流れを作れると良いなって。それを学問ファシリテーター講座として伴走していけると良いと思っています。」

ここでもまた、”無意識”という言葉が飛び出した。

現在、ファシリテーション講座を通じて、Foraと大学生、大学生と高校生の接点を作っている、りよな。

今後、ファシリテーション講座以外にも外との繋がりも積極的に作りたい話す。そんな、りよなのForaでの肩書きは、コミュニケーションデザイナー。

「対学校、対大学生、とかForaに関わる人が応援したいなと思ってくれるイベントとかも作りたい。」

そう言って笑った。


「会いたいです」、と手紙を出す

Fora以外に、りよなが今考えていること、していることを教えてくれた。

「歌のオーディションを受けています。たまたまFacebookでみて、悩んでいたのですが、やるなら今だよと言われて。21歳のタイミングで始めて、失敗してもう一度やり直せるのは今だ、と」

もう一つ教えてくれた。

「後はカメラです。まだ買えていないんですけれど…」

りよながカメラを始めたい、そう思い立った経緯は、ラブグラフの社長に会いに行ってきたことだという。

「会いたいです、と手紙を書いたら、ツイッターでお返事をもらいました。実際に会い行って、その会社の掲げているものがすごく素敵で、それに惹かれてラブグラファーになりたいと思ったんです。カメラ持っていないのに、ラブグラファーを目指し始めました」


昔から人を喜ばせるのが好き

歌やカメラ、他には演劇など、様々な表現方法を持っているりよな。

それぞれの背景にある想いを辿ると、人を喜ばせるのが好きだった幼少時代に遡る。

「昔から、サプライズが好きでした。母親が夜遅くまでダンススクールを経営しているのですが、母親が誕生日の日も帰りが遅くて、その時に手作りのコース料理を用意して、ケーキとかも用意して待っていました。クラッカーも準備して、電気も真っ暗にして、帰ってきたらサプライズしたり。妹の誕生日の時もよくケーキを作っていたりしていました。昔から人が喜んでいる姿を見るのが本当に好きでした。」

サプライズをよく企画していた幼少時代から時が経ち、高校1年。進路を考える際、その想いが具体化をしていく。

高校一年生の時に、NPO法人NEWVERY理事の倉部史記さんの講演で聞いた、”好きの掛け算”の話がきっかけだという。

「自分が好きだと思えることを掛け算すれば、オリジナルの職業とか、やりたいことが見えてくるよ、と教えてもらって、それをずっと考えていました。」

そうして考えて、当時志した職業が、ウェディングプランナーだった。

「企画するのが好きで、サプライズが好きで、人を笑顔にするのが好き。そう考えた時に、幸せを感じる瞬間って笑顔だなって思ったんです。それを形に残せるもの…幸せって形に見えないけれど、形として表すものってなんだろうと考えた時に、一個は結婚式だなと思い、それを企画するウェディングプランナーを目指そうと思いました。」

以前より関心があった教職と、関心を持ったウェディングプランナー。両方を目指せる大学に通っていたが、大学を辞めることとなり、同時に、ウェディングプランナーの夢を考え直すこととなった。

「人を笑顔にする仕事はしたいな、と考えた時に、一回きりのものでなくて、ずっと残るものが良い。それは写真だと思って、サプライズ要素を含んだ一回きりの写真をとる人になりたい、そう思ったんです。」

ラブグラフは前から知ってはいた、という。

「具体的に良いなと思って、関わりたいと、確信になりました。先述の、21歳、今が始める時だと言ってもらったことも後押しになり、手紙を書きました。」


誰かと誰かを繋げること

歌、カメラ、演劇..様々な取り組み中で、共通の大切にしている想いがある。

「場づくりとして、誰かと誰かをつなげることを、特に意識しています。」

例えば、と自分の今の活動に繋げて話してくれた。

「学問ファシリ講座なら、講座生同士、過去の講座生同士、運営と講座生。歌の場合、私の歌を聞いてくれた人同士が繋がる。カメラなら、依頼者が会いたい人に会うために、私を使ってくれると良いなって。演劇なら、自分が演じた役とお客さんをつなげる。私とお客さんではなく、私が仲介人となり、物語の役とお客さんをつなげる。そういう風に、人をつなげるきっかけとしての場づくりができたら良いなと思っています」

そして、それらは、全部どこかで繋がるんだろう、と話す。

「Foraでカメラ撮ればいいし、テーマソング作ることもできる。元々、ギターも人に歌って欲しくてやっていました。私も歌いながら弾き語りするけれど、実は得意じゃない。私は伴奏者で良いんです。」

一方で、本当にやりたいことをぶらさないために、立ち位置を守り、あちらこちらに、首を突っ込みすぎないことが大事だと最近感じでもいるよう。

自分が目指したい姿がしっかり、あるからこそ、感じられることなのだろう。


ある日突然、手紙で招待状が届く

りよなが考える写真を使ったサプライズってなんだろう、知りたくなって聞いてみたら、考えていることを教えてくれた。

「ある日突然、メールではなく、手紙で招待状が届きます。大きなサプライズでなくて、その場に人がいなくてもいい。手紙が送られてくるってすごいサプライズ、だと思うんです。」

その理由を続けてくれた。

「私、文字がすごい好きなんです。書いたりするのが、すごい好きなこともあって。今メールでなんでも送れるからこそ、形として残るもので、相手のことを想ったものが送れるって良いなって。」

もちろん、その分、手間はかかる。ただし、その手間が良いのだという。

「相手の思いを形にして届けるのって、手間がかかるし、面倒だし、手紙の場合、切手代も、封筒代もかかるし、便箋に何か書かなくちゃいけないし…ただ、もちろん、手間はかかるけれど、その手間自体がすごくサプライズだなって思うんです。カメラに関しては、必ず招待状を送る形にしようかなって思っています。」


準備している時が一番楽しい

色々な活動をしているりよなの中で、何をしている時が一番楽しいんだろう、そんなことが気になって、最後に、ふと聞いてみた。

「準備している時、サプライズを考えている時が一番楽しい。」

少し考えた末にそう答えてくれた。例えば、クラウドファンディングの文章書いているの時の心臓の音がまさしくそれだったという。

内訳は、興奮が6割、不安は1割で、不安は口ではいうけれど、そんなにないと言います。そして、残りは楽しさ。

「アイディアが浮かんできて、繋がっていく感覚が好きで、ずっと興奮しています。自分のサプライズを受け取って、それをきっかけに何かを始めてくれた人がいたら嬉しいし、それは、また自分がやる時の原動力にもなる。」

ただ、自分がやってて楽しいのは、あくまでも準備期間。

「学問ファシリテーション講座とか、プレッシャーが半端ない時、自分が企画側の時は辛いこともあるけれど、人が考えていくことを形にしていくことは楽しいです。」

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・一般社団法人Fora

・学問ファシリテーター育成講座

・Lovegraph

・劇団ファミリア
りよなが所属している劇団。年に何回か、素敵な公演を開催しています。