気がつくと11月。
もう少し秋を感じていたい思いとは反面、季節は冬へと進んでいくのを感じます。
「基本いつも楽しいけれど、その楽しさ度が少し低い気がします」
イマココの感情をそう表現してくれたセルカ。
話を聴くのは半年〜1年ぶりくらい。いつも楽しそうに、今自分がしていた、している活動、感情を話してくれます。
大学を卒業して次のステップに進み見えてきた景色、そして逆らうことのできない時間の流れとともに出てきている考えとは何なのでしょうか。
現在進行形で、考え、行動を重ねるセルカの話を聞きました。
*「セルカ」というのは、いつも呼んでいるニックネーム。他の名前で呼ぶのが違和感あるので笑、この文章でも「セルカ」と呼んでいます。
新たな学びや発見
セルカは今年大学を卒業して4月から社会人になりました。
今はリクルートで営業の仕事をしています。
大学の頃からスタートアップ などで事業に携わっているセルカですが、大きな組織に所属をして仕事をすることによる学びや発見もたくさんあるといいます。
「今まで組織の中でフィードバックをもらえる機会がなかったので、その環境に身をおいて、学びも色々とあります」
今は研修期間中。本配属は来年2021年の1月頃なのだとか。
4月から働き始めて約半年間が経過。本配属まで数ヶ月ある状況の中で、今セルカの心を占めているのは、本配属への期待と少しの不安。
「本配属の結果、どこで、何の仕事をすることになるのか今から考えます」
勤務地も職種も扱う商材も分からない状況。
その中でも、希望や考えているイメージはあるという。
「今伸びている商材に携われたらなとか思ったり、後は営業はやってみてある程度できることがわかってきたので、企画の方とかにいけたらいいなとかも考えたりしています」
本配属が決定したら、一定期間はその場所で、その仕事をするのが一般的。
今後、自身が何を、どの程度の期間で得られるのか、方向性が大きく定まっていきます。
大切なタイミングであるからこそ、期待や楽しみもありつつ、ドキドキしながらその時を待っている。
「日本語教育」を活かせる環境をつくる
現在、セルカが取り組んでいる活動は他にもあります。
日本語教育をテーマに「一般社団法人ひとと」を設立、日本語教師のコミュニティ(ひとこみゅ)の運営と、日本語学習者向けの日本語教育クラスの提供をしています。
国籍問わず日本語教師、および日本語教師を目指す人に向けて、「日本語教育」をキーワードに、ゼミ、サロン、アクティブラーニングなど様々な活動を行っています。
「大学で日本語教育を専攻していたのですけれど、学んだことが生かせる場をつくりたくて」
リクルートは副業が可能なこともあり、法人を作り、今はトビタテ留学JAPANで会った方と事業を進めているのだとか。
日本語教育に携わる人が集まったり、学習をしたりする環境が十分ではないのではないか、そういった課題からスタートした活動。
新しい取り組みとして、外国人を採用している日系企業の研修や福利厚生などと絡めて導入を進めたり、考えていることは様々だという。
海外やアフリカやスタートアップ
本業も、本業外の「ひとと」も、順調に楽しみながら、やりたい方向に進んでいるように思えるセルカ。楽しさの度合いが少ないのはなぜなのだろうでしょうか。
話は少し昔、セルカが大学生の頃にさかのぼります。
セルカの大学生活を「海外」とくに「アフリカ」を抜きに語る事は難しい。
大学一年の頃、日本ルワンダ学生会議という学生団体に所属。実際に2週間ルワンダに行って、現地の大学生と交流をしていた。
その後、大学を休学して1年間ケニアに留学。留学の中では、日本語教育の授業をしたり、ケニアの企業でのインターン、ルワンダでも日系企業のインターンを行う。
帰国後もアフリカでマイクロクレジット事業をするスタートアップにCo-Founder兼COOとして関わっていたり、日本企業のアフリカ進出支援をするプラットフォームを立ち上げる。
新しい環境に飛び込んで、何かはじめて、引き継いでいく。そしてまた何か新しい環境に飛び込み、活動を始める・・・
そんな彼女が次の環境に選んだのが、企業に就職をする選択だった。
20代後半
世界中のあらゆる場所で経験を重ねながら、様々なものを見て、感じ、考える。
そして、明確な目的や理由を持って臨んでいる社会人経験の中で、楽しさの中に感じる葛藤。
その葛藤の理由の一つが、時間の経過つまり年齢だという。
「20代後半、色々ありすぎじゃないですか?」
セルカは今年24歳。来年で20代も半ばに差し掛かる。
一般的に、20代半はライフイベントも多く、仕事でもプライベートでも様々な変化がある場合が多い。その過程で、いつ、なにを、どこで行うのか悩むことも多いのではないだろうか。また、会社や家族、パートナーなど、自分1人だけで決められないことも多くなってくる。
「こういった話を会社のマネージャに話すと、『何でそんなに生き急いでいるの?』って言われたりもするんですけれど…」
実はセルカが先のキャリアを考えるのには理由がある。
それは、”アフリカで活動をしたい”想い、だ。
「早いうちに結婚をして出産をして、アフリカにも行ってバリバリ働くか、バリバリ働いた後に出産をするのか、とか色々と考えています」
セルカは自身の”ロールモデル”のような存在の女性を思い浮かべながら話す。
「ルワンダの日系企業でインターンしていた時に会った女性の方がいて。その方はリクルート出身で日本で何年か働いた後に、ルワンダで事業をされているのですが、30代後半で出産されているんです。その時の話を色々聞いたりしていて…」
今後どのようなキャリアを歩んでいくのか、歩んでいけるのか、考えていかなければならない状況なのです。
やりたいことが多い
考えなくてはいけないことがある中で、中々考えが進まない理由もあるといいます。
「やりたいことが多いんです」
今のセルカの生活は平日は本業。本業が終わった夜と土日は日本語教育の法人の活動。
「リクルートで学びたいことも沢山あるし、日本語教師の法人もやっていきたい。色々取捨選択をしなくてはいけないとは思うんですけれど…」
リクルートに就職したのも、組織や経営、その仕組みなどを学ぶため。まだまだやりたいこと学びたいことはある。
一方で、「ひとと」の活動を拡大をしていきたいとも考えている。ただ市場的に売り上げを上げていくのが厳しい現状もあり、その中で何をどこまでやっていくのか、自分が関わるのか、考えている最中でもある。
そのように、せわしなく動く日々の中では、今後について考える時間も中々取れない。
迫ってくる本配属を経て、今後どこで、何をしていくのだろうか。
「一年後、どこで何をしているのか分からないですけれど」
その瞳は明るく、楽しく今と未来を見つめていました。
おわりに
セルカに初めて会ったのは数年前。僕が大学3年生で、セルカが大学一年生の頃。
宮崎から上京してきたばかりのセルカは、本人も話すように基本ポジティブで、でもしっかりと芯があったのを覚えています。
その後、世界各地で様々な活動をしたセルカの様子は記事内に書いた通り。様々に見て、聞いて、考えたことで、セルカ元々持っている芯のようなものはより強く輝きをましているのだろうと、勝手ながら(本当に勝手ながら)思います。
これからもきっと世界各地で「面白いこと」を続けるセルカの姿に勇気と刺激をもらいます。
(れい)