「楽しい」

イマココの気持ちを、そう答えてくれた、かずま。

「会社のチームの目標があって達成して嬉しい気持ち。良い感じです。」

かずまは今ECサイトの集客を支援する会社で仕事をしている。新卒で4月に入社したばかりだが、順調に働いているようだ。

もう一つ、仕事以外の活動のことも話してくれた。

「今、高知で社会人向けの対話プログラムを運営しています。」

始めたきっかけは、とある出逢い。

「学生の頃にしていた民泊の清掃会社のインターンで、違う事業部の先輩が転職して転職先でバーを始めたんです。志を持った若い人たちが集まる、かくれ架BASEというバーなんですけれど、そのバーのイベントでFactory Dialogの代表と会って、プログラム来てみる?と言われて、自分こんな感じなんで『行きます』ってなりました。」

そして、実際に参加して心が動いて、運営にも関わるようになったと話す。

「そのプログラムは、高知以外の色々な場所から参加者が集まってきて、二泊三日で人生の棚卸しと、今後どうしていくのかを参加者全員で考えていきます。生き方の再定義と呼んでいます。」

関わるのは、プログラムの時だけではない。先日、岡山県で、かずまと同じ運営のプロデューサーの人が行う合宿があり、そこで事業の未来とかを考えたりもしたそう。

メンバーとして参加したプログラムの様子

「そのプログラムの中で参加者の感情が動くんですけれど、その瞬間を見たり、カメラで撮ったりするのが好き。生きている実感 葛藤とかを感じるんです。」

そう言って、先日参加したプログラムで起きた参加者の葛藤が生まれた瞬間を話してくれた。

「自分が参加したプログラムで、ある宗教を信仰している人がいて、その人は今まで、愛するということを、当たり前として生きてきた、という話をプログラムの前半にしてくれたんです。一方で、その後に、対話を重ね、自分と向き合っていく中で、人を愛せない自分がいる、ということに気がついて、そこにぶつかった瞬間、すごい穏やかに見えたんだけれど涙が出ていました。その自分と深く向き合っている姿も、そこから出てくる涙にも心が動いたんです。」

参加者が自分自身と向き合い、葛藤し、何かが生まれた瞬間、それを重ねていくうちに、かずま自身が、そのプログラム・場自体に惹かれていったのだろう。

「自分と向き合ったり、それを人に話して受け止められる場って素敵だなって思います。」


自分たちの人生も問われている感覚

プログラムとして、参加者に生き方を問う場を作っている一方で、問われているのは、参加者だけではないとも感じている。

「自分たち運営って、他人に対して自分とか人生を問う場を作っているのですが、それってなんかこう、逆に自分たちの人生も問われている感覚もあるんです。」

例えば、先述の人を愛することに葛藤が生まれた参加者の話。かずま自身も、基本的に人が好きで、人のことを好きでいたい。好意的な感情を持っていたい一方で、そうなれない自分がいるとも思っている。プログラム中に、その参加者の話を聞いた時、感動した一方で、自分はどうなんだと自分自身に問いたという。

「人に問いかけるのってイージーじゃないですか。でもそれを通じて、改めて自分がどうなのかって問われる気がするんです。」


人の想い、感情のこもったものを、もっと世の中に届けたい

高知のプログラムを運営している一方で、普段の仕事はECサイトの集客支援。

一見、リアルな場と、ネットの場、対極に見えるが、かずまの中で、それぞれはどのような位置付けなのだろうか。

「根本にあるのが、人の想い、感情のこもったものが、世の中にもっと溢れたら、もっと幸せになると思っています。」

直接的にそういう場を作るのが高知だと話す。

運営として参加したプログラム

「高知のプログラムは、想いとか感情とかをぶつけられる場所です。」

一方で、今やっている仕事は、ECサイトの集客支援で、メインのお客さんは、中小企業の人。まだ世の中にあまり知られていないけど、素敵な商品を作っている人たちって地方にも東京にもいる。

仕事としては、”広告を出す”ということ。しかし、広告を出すことで、エンドユーザーにも目に触れられる機会を作れるし、使っているユーザーにとっても、自分たちの好きな商品が世の中にも広がっていくことにもなる、と話す。

「上手くいくと、自分たちの好きな、想いのこもっているものが、世の中に広がっていく、流通していく。”これでも良い”、”あれでも良い”、という商品ではなくて、これじゃなきゃダメという商品、唯一性のある、想いのかかった商品を広げる手助けするものを、作っているという気持ちでやっています。」

だから、対極と言われることは多いけれど、根本は似ていると話す。

そして、その”住み分け”に、一定、すごく満足しているという。

「場づくりだけだと、広げられる限界がある。一方で、マーケティングだけだと、自分の手触り感が中々持てない。仕事、仕事外含めて、両方できているので満足。」


言葉にできたのは、本当に最近

”人の想い、感情のこもったものを、もっと世の中に広げること”その想い自体は持っていたが、言語化をできたのは、最近だと話す。

「ぼんやりと思っていたのは大学生の始めに、フィリピンに行った後でした。ただ、言葉にするのが苦手なので、言葉にはできていなかったけれど、根底にはそういう思いがありました。言葉にでき始めたのは本当に最近で、それこそ、高知のプログラムで対話を重ねて言葉になっていきました。」

そうして言語化してみることで、今までかずま自身がしてきたことと、それに惹かれていた自分の感情が繋がっていった。

「自分が東南アジアが好きというのも、人の感情を生で感じられる機会が多かったからとか思ったり、Learning for Allで子どもと関わっていたのも、似たような想いがあったのではないかなとか」

それは、ポジティブな感情だけではなく、自分が苦しかった感情を振り返ってみた時にも通じる。

「民泊会社でのインターンが苦しかったのも、自分の感情が付いて行かなかったし、他人からの感情も受け取れなかったというのも大きかったのかもしれないと振り返ってみて、思いました。」


好きなものに挑戦しやすくなった

「高知の活動を始めてから、好きなものとか、良いなと思いかけたものに挑戦しやすくなりました。」

元来、自分を頭で考えるタイプと話すかずま。何かを始める際にも、メリットとかを考えて、自分ができないものに挑戦することを、してこなかった部分もあったという。一方で、挑戦をしたかった部分もあった。

「今はカメラもやっているし、後は劇もやりたい。それは今まで恥ずかしくてできなかったことだと思います」

挑戦できるようになった、その変化には、身の回りに、褒めてくれる人、応援してくれる人、いいねと言ってくれる人がいることも大きい。

「例えば、高知のプログラムのグループチャットで、自分の撮った写真を、みんな褒めてくれるんです。そんなに褒められると写真撮ることも、好きになるじゃないですか。」

そう笑って続ける。

「自分の好きを育める場所でもあるし、こんなに『いいね』って言ってくれる人達ってあんまりいないなって思うんです。」

劇をしようと思ったのは、かずま自身が参加者として参加したプログラムの時に、会った高校生の女の子がキッカケだった。

「その女の子は地元の子で、シャイで、でも何か戦っている感じがしたんです」

その女の子はダンスが好きだという。かずまはプログラムの後、高知で観光のために、一泊した際に、誘われて、その子のダンスを見に行った。

「めちゃくちゃ活き活きと踊っていて、その女の子の普段の話を知っているからこそ、そこまで人って表現できるんだって、自分もやってみたいなって。かっこしいし、それに心動いている自分もいたんです。」

「今は、仕事ももちろんあるのですが、高知のプログラムも大事な存在になっています。」

そう語るかずまに、高知のプログラムで、一つチャレンジしたいことがあるようだ。

「2月に学生向けプログラムをするんですけれど、そのプログラムのオーナーにチャレンジしたいと思っています。今は代表が全体のオーナーしているけれど、自分もチャレンジしたいと思い、オーナーにその気持ちを伝えました。」

かずまのチャレンジは続いていく。


好きな場所、好きな空間が、そこにある

”人の想い、感情のこもったものを、もっと世の中に広げること”を続けているかずま。今後、どのようなことをしていきたいと考えているのでしょうか。

「そんなに大きな夢はなくて、大きな夢を持ちたいっていう自分がいる一方、無い寂しさもあるんですけれど」

そう話してくれた後に、一つやりたいことを語ってくれた。

「一つやりたいのは、ベトナムでそういう空間を作りたいと思っています。期間は3・4・5年後・・・いつになるかわからないけれど、今はそういう学校を作りたいと感じています。」

かずまの話す”そういう空間”が、示すのは、まさしく高知での空間。

「それぞれが、心豊かに育てる空間を、すごい好きな国のベトナムで実現したい」

かずまは大学在学中に休学をして、ベトナムで店長をしていた。そんなかずまにとって、ベトナムは、深い思い入れのある大好きな場所でもある。

「自分のかけがえなのないものを受け取れた場所です。友達と話したい、人が好き、そういう生々しい感情を受け取れた場所で、振り返ると幸せを感じます。」

しかし、その感情に含まれているのは、楽しかった思いだけではない。

「ベトナムにいる時、すごく必死でした。カフェの店長をしていて、できないことも多くて、ズタボロの自分がいたんです。」

ベトナムのことを思い返すと、その必死だった自分も思い返すという。
それは、例えば音楽と共に蘇ってきて、その度に元気をくれる。

「嫌なこととか辛いこととかある時、ベトナムで聞いていた曲を聴くと元気になります。例えば、カフェで流れていた大橋トリオの曲とか、聴く度に、嬉しい、楽しい、とかの鮮明な感情が蘇るんです。間違いなく影響を与えてくれている場所、好きな場所、好きな空間が、そこにあるという感覚です。」

ベトナムでインターンをしていた時の様子。お気に入りの写真だそうだ。

それは、ベトナムにいた必死で頑張っていた、自分自身の状態が、すごく好きということに繋がるという。

そして、その思いは、高知で活動している今にも通じる。

「今の自分も、一生懸命生きていたら、後々振り返った時に、良い感情、良い空間になるんだろうなって確信があるから頑張れるのかもしれない。自分を元気にする過去がある、栄養素みたいな過去がある。」

そうして、続けてくれた。

「ある意味そういう空間を人に対して作りたい。これは確信ではないけれど、だから運営として関わっているのかもしれない。」

*お話を聞いて